「試行錯誤する学校」大人の学習合宿in福山 実施報告

3月2日3日(4日)無事、大人の学習合宿が終了いたしました。

「学校における、本質的な学びとは、どこにあるのか?」
を大きなテーマとして挙げ、
学校を開く(閉ざさない)ためにはどうしたら、保護者、地域、企業、と共に存在できるのか?をみんなで考えました。
全国から20名ほど集まり、3月2日午後13:00より開始し、翌、3日の12:00まで、行い
その後、希望者とともに4日まで大崎上島の瀬戸内グローバルアカデミー視察まで行いました。

3月2日(土)
今回事務局で想定した以上の効果を生み出したのが、冒頭の「長いアイスブレイク」です。
事務局で、案を出し合い、多様な視点をみんなが考えて対話するということを考えました。
「日常の自分とは違う立場キャラクターになったとしたら、自分はどう発言するだろうか?」ということを皆さんに演じてもらうことで
違う立場に」目を向けるということを行いました。
事前に、こちらで作った「課題事例 : 教育実習生を受け入れて」を事前に読んできてもらい、違う視点で、その状況を考えてもらうようにしました。

登場人物は、X高校の主人公A教員と、教育実習生、ベテラン教員の3人しかいないのですが、こうしたよく学校で見られる事例にある事例を取り上げ、それぞれの立場と共に、それを知った保護者や、管理職、高校生の立場から見つめてみようということです。(ちなみに教育実習生が行った授業の内容は、ドルトン東京学園の布村 奈緒子さんが、都立両国高校におられる時に実践された授業内容となっています。)
それも、単にこの事例をそのまま議論しても面白くないし、保護者や、管理職、高校生それぞれの立場で行うので、「どんな高校生?」「どんな管理職?」「どんな保護者?」とそのペルソナまで参加者で決め、演じてみながら対話を行うというアイスブレイクでした。
事務局側からは、(事前設定済みキャラクター)として

<高校生>
N)真面目で負けず嫌いな自分の勉強を妨げてほしくない高校生
P)何にでもチャレンジすることワクワクすること大好き高校生
<保護者>
N)他の子と違うことがあると不安になる保護者
P)こどもの「やりたい」を尊重してくれている保護者
<管理職>
P)自分は間違っていたと言える管理職
N)自分の評価を落としたくない管理職
※P)=ポジティブキャラクター、N)=ネガティブキャラクター
を設定し、それを「高校生サイコロ」「保護者サイコロ」「管理職サイコロ」の2面に上記のペルソナを記入しておきました(実は管理職のP)自分は間違っていたと言える管理職
というのは、登壇の本間さんが横浜創英で教職員の前で行ったセリフで、そのペルソナを入れています)
その上で、残り4面に、ポジティブとネガティブのペルソナをあと2つずつ、話し合って決めてもらい、サイコロに記入し発表してもらいました。そこでサイコロを振って決まったペルソナにそれぞれがなりきって、自分のチームに戻って、対話するということをしたのです。
即ち、皆さんがそれぞれ自分の見解で発言しようとする前に、いや自分の役割のペルソナだったら、どう言うかな?と考えながら演じるわけです。こうした一連の「作業→作る→演じる」、を通して安心安全な場で、自分の中で立場の違いを考えるいい機会となったようです。
【オリジナルグループへの問い】
それぞれのキャラクターペルソナとして対話します。
(問い)
▪️教育実習生がやっている「学び」とは?
▪️教員Aが後押しするのをベテラン教員が咎めたのを聞いた管理職が考える「学び」とは?
▪️教育実習生がやった授業の様子を聞いた保護者は「学び」をどう捉えたでしょう?
何が浮き彫りになったか。
その上で何を感じ、何を思ったかを対話する。それぞれの立場・キャラクターから見えることから、それぞれの「学び」を考える
また、そこには生徒と教職員・地域の人たち保護者等々の大人が共に学ぶ学校のイメージはありますか?
※視点を変えて議論することで立場の違いを互いが認識しながら「学び」について考え発表する。また、上記のように「学校を開いた存在にするには?」という問いも含まれています。
ここまでがアイスブレイクですから長いのですが、アイスブレイク的な要素を入れながら、実際に違う立場から課題を見つめることを共に進めることで、その後にすごく深い対話を進める効果をもたらせたと感じています。
その後は、私の方から「学びとはどう変わっていくべきか」と言う問題提起をし、現実的な状況における課題に向かっていきました。
私の問題提起において皆さんの興味を多く惹いた話題は、「8つの知能」のマルティプルインテリジェンスの話でした。意外と皆さん聞いたことがないもののようでした。

その上で
問い1:教育課程における最上位課題の目標(「学び」)はどこにある?
問い2:「その最上位目標を達成するために、教育課程を考えた時に、
どの部分からどのように学びを盛り込んだ形が望ましいのでしょうか?
と言う問いを投げかけ、
その上で
問い3:教育課程の中で、どの分野からのアプローチが有効でしょうか?」
※今の教育課程:「授業」・「探究」・「学校運営」・「行事」・「教員研修」・「カリキュラム」・「学級編成」・「学校組織・職務一覧」・「評価」「その他(    )」の中で、
「一番最初に改善に取り組むべきは?」グループごとにダイヤモンドランキングを記入して最上位のテーマを設定し、なぜそうなのかを議論。をしていったわけですが、ここでチームごとに深い対話となりました。
その際、学校を開く(閉ざさない)ためにはどうしたら、保護者、地域、企業、と共に存在できるのか?という問いも当然入っていました。

【1日目が終わって 参加者の声】
🔳大変有意義でした。情報交換もできました。
🔳8つの知能で、子どもを救う
🔳評価がなされることが問題なのではなく、評価が選抜と結びつくことが問題なのだと思います。とりあえず、簡単に。
🔳8つの知能、意識したいと思いました。
🔳自分に見失っていた要素を思い出した気がします。また別の立場を考えることで、見えてくるものが大きく違うのは改めて感じました。
🔳ペルソナで考えるものは面白かったです。またワークだけでなく、その隙間でのグループでの会話が有意義でした。
🔳授業を作るための大人のunlearnの重要性
🔳学校をひらくのにどうしたらいいか。考えます。
🔳教育は「形に表しきれないけれど確実に関わった生徒へ影響を及ぼし得るもの」と考えているため、班の方からも「活動の全てを評価しなくても良いし、しきれない」というご意見があったことから大変励まされました。また、失敗も含めた体験の中で生徒は研磨されていくので、日常の些末な出来事も含めた生徒がする経験を教員が自己判断で取り除くのは思わしくないというご意見へ、非常に共感できました。
🔳準備された内容を超えて、対話ができていた気がします。研修のあり方の、一つの完成形を見たかなと思います。
🔳皆さんと対話できて、新たな視点をいただきました。頭の整理が必要です。
🔳内容が盛り沢山でしたが、もっと議論したかったと思うぐらいあっという間でした。色んな現場で真摯に教育に取り組まれている方々のお話が聞けて、多くの気付きが得られました。
🔳安心して学べる環境のもと、みなさんと対話を通して学ぶことができましたことに、とても満足しています。 自分の言葉で、自分らしく「学校の本質的な学びを考えること」ができたことが脳みそに汗をかく学びでした。
🔳地域や企業との関わり方が重要だと感じた。どのように新しい学びを行なって行くか考えさせられた。保護者の立場を行なって、普段気づかないことに気づいた。なかなか、保護者から学校に提案しにくいのかもしれない。
🔳ネガティブな役のロールプレイは気づきが多く大変有意義でした。対話がテーマでしたが、参加者の皆さんと多くの対話ができ、刺激を受けました。帰ってから自校での対話も積極的に行いたいと思います。
🔳対話とは「なぜ」までを相手に伝えたり、自分から表現することが重要であると実感しました。
3月3日(日)

本間さんの紹介を私が行った後
本間さんに聞きたいことを皆さんに確認をして、横浜創英中高 本間副校長の講演に入りました。
さすがに新カリキュラムの中心人物であるだけあって、そのカリキュラム改革の内容は、興味深かったです。何のために改革を行い、そのための手段として働き方改革を同時に展開する。そのようにすることで、教員にもゆとりが生まれ、より尖ることもできるようになるというところが気持ちよかったです。
全体的に端々に出てきますが、生徒が、「自主的に行動し、学べるようにする」ために、様々なところで、子どもたちがマイノリティになるような仕組みづくりや決断が多く見られたことが、私の中では強く印象に残りました。
参加者にも、その貴重なお話と共に、本間さんの「想い」が伝わったようです。
質疑応答を経た後
本間さんの話を受けて、さらに昨日議論した内容をより濃くしていくワークに入ります。
問いは、「あなたの学校で行うとするなら、どのような教育改革を実施しますか?」前日のダイヤモンドランキングをもう一度磨いていき、具体的にどうしていくか?を対話してください」

最後は、2日間の仕上げとして自分自身のことに落として、宣言を一人ひとり行いました。
自分ごととするために、この二日間のことを振り返って、「学習するサイコロ」を仕上げ、一人ひとり発表です。
「学習するサイコロ」に記入するのは以下の項目
1面)自分の名前
2面)最も大切にしたいこと(ありたい姿)
3面)現状の具体的で明確な状況把握
4面)それを実行する上での障害となるもの
5面)それを実行するために必要なこと
6面)明日から必ずやること
この「学習するサイコロ」の狙いは、
2面:自己マスタリーも含め理想形を言語化する
3面:現実を具体的に明確に捉えているかにより
創造的緊張というパワーを得て、明日からの活力にしてもらうというところにあります。
そして、実践に移せるようにするために、4面、5面、6面が存在するサイコロです。
自分の机の上にでもおいて、輪ゴム入れに使うなどしながら、自分の宣言や、これからの実行を、思い出してもらうためのものです。

【2日間を通して 参加者の声】
🔳目から鱗で教育への熱が再燃しました。本間先生のご講演に感銘を受け、また学びについて言語化できてとても良い経験ができた。
🔳本間さんの講演が聞けてよかった。 様々な学校や立場の人と話して、考え方を共有できた。内容盛りだくさんで大変良かったです。
🔳本間先生の講演は大変興味深かったです。また年齢や業種の異なる方々との対話は有意義でした。社会との繋がりを持とうと改めて思いました。ありがとうございました。
🔳本間先生のお話が大変参考になりました。また、最後に個人発表があったので、それぞれの思いが知れたのもよかったです。
🔳本間さんが期待を上回って、お話ししてくださいました。
🔳本間先生のお話を伺い、そして班のみなさまと意見交流、共有できましたことに深い学びがありました。明日から頑張るエネルギーをいただきました。
🔳本間朋弘先生による「学校改革は働き方改革とセットでないとできない」「教員は『働きがい』を見つけるのは上手くても『生きがい』を見つけるのは苦手である」というお話が印象的でした。 教員自身に学ぶための余白があることで、生徒にとって結果的に良い影響があることはもっと広まってほしいです。
🔳本間先生のお話が非常に参考になりました。また最後のワークも学びがありました。今年もとても面白かったですし、刺激を受けました。ありがとうございました。
🔳まずは横浜創英の改革内容を、改革の中心である本間先生からお聞きできたことが大変感激でした。内容だけではなく、「思い」も強く伝わってくるような時間でした。続くチームでの対話は、昨日よりもより深くお話しできたように感じます。最後に自分の考えを文として表現する、宣言する時間も、自分自身への活力につながりました。
🔳初めて会う方と話すことが苦手だからこそ、初めて会う方と話す機会があるこの合宿に参加させていただきました。この2日間で「ストレッチゾーン」を経験でき、大変成長できる時間となりました。もちろん内容としても課題意識を共有できる方々とお話しし、より自分のしたいことが明確になったと感じています。濃密な時間をどうもありがとうございました。今後もよろしくお願いします。
🔳本間先生の話、良かったです。
🔳大満足です。リアルにお話できて、最高でした
🔳プログラムが良かった。
🔳楽しめました。
🔳自分一人では知り得ないことをグループで話をすることで、学べました。
🔳面白かったです。思考がフル回転しました。

合宿終了後、
13:00〜希望者で、大崎上島にある「瀬戸内グローバルアカデミー(SGA)」
に向かいました。日帰り組と宿泊組に分かれて車で移動です。
福山から竹原港につきフェリーに30分乗って向かいました。島の港に、参加者を長尾先生が車で迎えにきていただきました。

「大望月邸」という海と島の歴史資料館(昔の廻船問屋だったところを復刻したところです。)に向かい、SGAの話を聞くと同時に、島の歴史が残っている話を聞きました。
丁度ひな祭りで、島内から集められた古い、雛壇がたくさんありました。
その後、SGAに向かい話をして、日帰り組は帰路へと向かいました。


宿泊組は、盛大なご馳走をいただき様々な話をしました。
SGAは、志塾ともいうべきところで、日本が従来、家庭での教育をしているようなところもやっています。それは、少人数で、日々暮らしを共にするという環境が大きいことと、長尾先生の軸がブレないところによるものが大きいと思います。
そして何よりもここで1年ないし1年半過ごして単位クリアすることによって、アメリカのアトランティック大学の2年生に編入することができます。そのため日本のこともきちんと話せないと世界で通用しないということを念頭に行われているためです。
また、そこに入った学生は、島内で毎日「働く」ため、そのことによって学ぶことが非常に大きなものとしてあると言えます。今回の合宿のテーマでもある「本質的な学び」の具体例をみなさん感じることができたようです。
3月4日(月)
宿泊組は、翌日海に出る朝日を6:33日出とともに観に行く。

長尾先生手作りの朝食を摂った後、
SGAの学生がやるという果樹園の農作業「鶏糞撒き」と、「枝の伐採」、そして、「八朔の収穫」までを体験し、

お昼ご飯を摂った後、帰路に着きました。
みんな山ほどのみかんとジャムをいただき、合間にSGAの話を聞きながら過ごし、日常にない学びに触れることができたようです。
港で長尾先生に見送ってもらいながら、「楽しい」、「美味しい」、を連発しながら過ごすことができました。

【大崎上島視察が終わって 参加者の声】
🔳長尾先生のブレることがない教育への情熱と深い愛情に感銘を受けました。実際に島に足を運び、学生が行っている農作業も話を聞くだけでなく自ら体験することで、それを肌で直接感じることができました。その学びの深さが満足した理由です。他では絶対に経験できない貴重な体験をさせていただきました。学ぶことの本質を考える機会になりました。
🔳長尾先生のお話、月邸見学、農園体験、濃い時間を過ごすことができました。ありがとうございました。長尾先生のお話を実際に伺えて、美味しい食事をいただいて大満足です。家庭の教育力、日本文化の伝承、働く体験、人として生きる力など、長尾先生が目指す教育を感じることができました。
🔳「これからの人だからこそできる教育」を感じることができたため。私は日帰りで視察させていただきました。輝いている生徒たちの顔が目に浮かびました。ちょうど勤務校では考査期間で、生徒たちは「テストで点を取るための」勉強をして「しんどそうな」顔をしているのを見かけます。テストのための勉強が悪いわけではありませんが、「なんのために勉強するのか」と生徒たちと対話をする長尾さんのように、私も生徒たちに問いかけていきたいと思いました。
🔳海と島の歴史資料館を見学して当時の瀬戸内の様子を知りました。いかに自然を活用して生活をしていたのか、人間の英知を感じました。 瀬戸内グローバルアカデミーを訪問して、長尾さんのお話を伺い、生きること、学ぶことは自分で掴むこと、その力を育み、学ぶことができる素晴らしい環境であることにとてもワクワクしました。日帰りがとてももったいなかったです。ぜひ参りたいです。とても素敵なところです。
🔳まさに、「本質的な学び」の事例だと思いました。大いに参考になりました。「本物を見て学ぶ」、そして、「考える」。まさに、生徒も教員も一緒だと思いました。

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