青翔開智訪問(こども園かける・学童保育・中高) 試行錯誤のコンセプト

5月27日念願の鳥取県「青翔開智中学・高等学校」→「探究学童保育」→「こども園かける」を訪問する。

以前、横井司朗理事長を訪問した際、気が合い話が盛った。同時に学校も見てみたかったが、コロナの影響で校舎内に入れず先送りになっていた。鳥取県版コロナ警報が解除されたと横井理事長より連絡が入り、今回やっと念願の訪問となった。

福山から、車で3時間。山陽インターチェンジで降り、美作道路を通り、智頭から鳥取市へと向かう。ちょうどまっすぐ北上するイメージである。青翔開智中学・高等学校に到着すると、横井理事長と隣の喫茶店で軽く昼食を済ませたあと、早速、校舎の見学をした。

まず、入口から足元のレンガの色が違う(素数の数ごとに色が違うを示している)ところを歩き正面玄関に向かう。
理事長がずっと説明をしてくれたが、校舎の至る所に工夫が見られる。まず驚いたのは、「図書館の中に学校」というだけあり、真ん中にある図書館だけでなく校舎のいろんなところを本棚があり本が並んでいる。しかし、そうした一連の本を全て管理しているのが、生徒を中心とした「図書委員」の仕事である。無造作においてあるようで、意図的に配置してあるのだ。図書委員の仕事は中々大変そうである。しかし、大変な代わりに、ご褒美としていろんなところへ行って本を仕入れてくるための予算を組んでいるらしい。
また、壁全体がホワイトボードの教室や、校舎の隅に何箇所かあるリビングルームのようなところでも座ると、丸い机の上がホワイトボードマーカーで記入できるようになっている。いろんなところで議論ができる作りである(まるでMITである)。畳の間もあり、シャワーも学校内にあるので図書委員も、その他の生徒たちも学校で、合宿できる環境にある。
何と言っても目立つのが、校舎の真ん中にある図書館である。そこには、半月状の机の周りにソファがあり、そこに座ると目の前にディスプレイがみんなで見え、テーブルに各人のタブレットを接続するとそのディスプレイに内容が映し出され、議論が始まる。面白いのは、そのソファの後ろにも背の高い椅子があり、誰でもそのソファで行われている議論に参加できるようになっているところである。開かれたしかも、互いが向き合わずに(対立構造を生み出さないように)議論が成り立つ工夫がある。この図書館の奥にある階段教室(「音楽室」と書いてあったが)がある。コンサートホールにもなり、扉やルーバーを閉じると防音教室になる設計である。訪問した時は、この図書館奥の階段教室で、zoomによる授業が行われていて、そこだけでなく図書館全体及び廊下にあるソファでも生徒たちが、タブレットやパソコンで授業を受けていた。校舎のいたるところが教室といった風情である。

しかし、感心させられたのは、廊下に額縁に入れて飾られた先輩たちが行った、探究活動の仕上げとしての論文の構想である。これが額縁に入れられて、廊下に掲示してある。前提から始まりその骨子をまとめているものだ。これが書ければ、論文も当然書けるだろうと思える出来のものである。それが壁一面に掲示してあった。嬉しい成長の証ともいえるものだ。

次は、職員室にある校長室(格式ばった校長室ではなく職員室にあるラフなリビングルームといった感じであった)で、田村幹樹先生(探究部部長)に探究の取り組みについて説明を受ける。探究的取り組みが、先生一人当たり4〜5名担当し個別に見られている様子がよく伺えた。この学校の共有ビジョンにおける要であると感じる。授業に関しては、先生ごとにさまざまな取り組みをされており、探究的取り組みを少しづつ進められていることを、探究部が後押ししている様が見てとれた。まさに共有ビジョンに向けて学校上げて、試行錯誤しながら進めている典型である。

織田澤博樹校長先生は、さまざまなところからのオンライン取材をずっと受けられていて、僅かな時間しかお話しできなかったが、オンラインでお目にかかった時よりもより人間的で、ざっくばらんな感じに安心感を覚えた。

次に見に行ったのが、7月から始まる学童保育の建物だ。ここでは、通常の学童保育ではない「探究学童保育」とでもいうべき場所だ。通常の学童保育は、小学生が親の帰りが遅い共働きのような家庭の子を預かり、遊ばせたりするところである。そこでは、教えたりすることが目的ではない。もし、そこで何かを教える場所にすれば、目的が異なるということで国からの補助金が出なくなる(文部科学省管轄ではないからだ)。しかし、理事長はそこを、探究的な学びを促す場所にしようとしている(補助金が出なくてもやる)。その設備は、想像したよりも広々としており、子どもたちが走ったり遊んだりできるように広い廊下と、冬には、大きい薪ストーブがある炊事場もあるリビングルーム。そしてかなりの広さがある中庭。教室も広く、みんなが集まって考えたり作業ができる机と丸いすがある。ホワイトボードとそこに付随するプロジェクターが設置してある。見ているだけでワクワするところだった。児童に対していろんな探究的刺激を与えることができる空間となっている。これは面白い。なんでもできるなと、思える場所であった。私がここに来たらいろんなことができるな・・・と妄想・構想が勝手に広がってきた。鳥取の小学生の可能性を大きく広げる場所にしたいという思いが伝わってくる。実は、ここに現在一緒にオンライン勉強会をやっている、青木潤一さんと久田が横井理事長に推薦した、マレイシアのサンウェイ大学3年生の中野真泉さんが、その担当者として採用されたのだ。1年間大学は休学することになった。(翌日が彼女のマレイシアから鳥取への引っ越しだったので青木・久田で手伝いに行ったが・・・・)

その次に、見たのが「探究学童保育」のそばにある「こども園かける」である。
ここも横井理事長の夢・構想がいたるところに見られるところであった。池から水が循環する庭。大きな滑り台がある階段教室。そこにはプロジェクターで大写しできる何でもできる大きな1階の部屋。その他の教室も非常に広い。しかも目が覚めるような人工芝に覆われた屋上。何もない人工芝の屋上。とても開放的な気分になる。ここで園児が伸び伸び過ごせる場所になっている。かけるこども園の”かける”とは、青翔開智の”翔ける”にかけているネーミングである。すなわち、こども園から小学生の探求学童そして青翔開智中学・高等学校までつながる大きなビジョンが見える。理事長は、自分の思いと環境を後進のために残したいと言われていたが、その通りの展開と言える。「完成形でなくてもいい」「常に、試行錯誤しながら変化を恐れない,変化し続けることができる学校を創りたいと思っております。」という横井さんの理念がいろんな場所や人に浸透しているのを強く感じた訪問であった。これが全国的に青翔開智を超有名にした根っこにあると感じた。

 

 

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