地方の小さな地域における教育のモデルについて・・斎藤幸平の人新生の資本論とのつながりを考える
最近、地方の地域における、教育改革について考えることが多くなった。本日オンラインセミナーで知り合った、先生と2時間以上電話等で意見を交わし合った。話が尽きない感じで非常に楽しかった。1学年8人〜12人くらいの地域の小学校の先生であった。異学年で一緒に授業を行い、生徒は互いのことを尊重し、それぞれのスピードで勉強していく。当然教え合いも生じる。その学校では、体育や総合的学習の時間は、異学年で行っているとのこと。国語や算数はまだできていないけど・・・・・ということであった。教育の手法には、様々なやり方がある。イエナプランだったり、ドルトンプランだったり、シュタイナーだったり、サドベリーだったり、high-tech-highだったり様々なものがとりだたされる。しかし、みんな共通することもあり、違うところもある。どの方法でなきゃダメだということはない。しかしその地域にあった形で、いいとこ取りでやっても全然いいのではなかろうか、大事にすることはなにか!?それに基づき詳細な設計を行い、うまくいかなくても目標に向かい試行錯誤をみんなでできる。それがあればやり方はいろいろあるのではないかと感じる。
ただ、地域ということを考えた時、最近聞いた斎藤幸平の講演やYouTube、そして彼が書いて39万部も売れていて最近私も読み始めた「人新生の資本論」を読んでいると、そこには地球温暖化に対する率直な危機感が根底にあるということを明確に提言されている。そして経済学者としての世の中・社会を見た場合に一刻の猶予もないという主張にかなり共感と影響を受けた気がする。
「経済学とは、今の経済状態を良くする学問ではなく、今の経済状況を分析する学問である。」というセリフは、もう20年も前に九大の経済学部長に最初に言われた言葉であり印象的に残っている。斎藤公平の主張は、社会・経済の分析に基いて現在の社会を見た場合、行き過ぎた資本主義にブレーキをかけていくことを人類が直ちに考え実行しないと、地球自体がとんでもないことになり、人類自体が生きていけなくなるというものである。
最近、私はずっと考えていたことがある。それは、「次世代に何を残すために、同時に次世代に対する責任を感じながら大人は今動き、働かなくてはいけない」ということである。この私の根っこに思っていることと斎藤幸平の主張は、非常にマッチングしてくる。そして、昨日Amazon primeで見た映画「100億人…私たちは何を食べるのか?」という映画内容とその発想が頭の中でつながってきた。この映画の中では、アフリカに土地の登記もないような土地に、大きな海外の会社が世界に供給する為に、作物を大量に植え、根こそぎ成果物をその土地から奪っていく資本主義の仕組みと現象。その土地の人に対しては、「こんなこともあんなこともやってあげる」と言っていたのに、何もせずに去っていく現実(何もそこの土地には、残らない)。インドで行われる、「遺伝子組み換えによる、発育が早く大量に収穫できる作物の苗」を大企業が提供し、大量の成果物を奪っていく。また、地元の人がそこに植えようとしても、種子が残らないので、苗を地域の人は買わなくては育てられない。だから、種子を守る活動をしている人の話。
一方で、地域は地域で守ろうという動きもある。
①イギリスの主婦から始まった地域の活動としての「町中にある花壇や植え込みにある植物を、全て人間が食べれる作物を自分たちで植え、管理して収穫し地域の住民たちに供給する運動」の仕組み
②アメリカでの「魚を下の水槽で飼い、その上に水耕植物を栽培し、魚が排出したものを植物が吸収して大きくなり、植物が排出するものが魚の栄養分になる循環型のプラントを地域にいくつもに作りその地域で育て、供給する仕組み」
③「その地域で生産したものであれば、その地域で発行した独自の貨幣?クーポン?を発行し、その街で作ったものの成果物には、そのクーポンを使う。利益は、その地域に残り流出しないような仕組み」を作ったり
等、世界各地で工夫していることが紹介されていた。
この3つのような例を見ても、その活動の根本には、その地域に対する愛情や互いの信頼感をベースにした取り組みを通して、大人だけでなく子供も巻き込んで「学び」を続けていく活動をすることで、地域を盛り上げていくという取り組みが必要ではないかと思えた。地域に生きる人たちの幸福感・住みやすさがそこで育まれ、日頃からその地域でみんなが関わったりして生み出したものであれば、「高くても買う!」という選択肢まで生まれてきてもいい。地域の人々が何のために、そんな活動にみんなが関わって形成し、互いのことを認めながら暮す「幸せの共有」ができる地域となれば、他の地区からも「幸せな生き方や学び」が得られる地域ということで、移住者も増えるコミニズムになれるかもしれない。
そうなれば、次世代を形成する主役たる「子供」もまた、「地域みんなで関わり、育てる地域」が生まれてこないだろうか!?そこにおける「学校」には、子供だけでなくその地域の大人も行き交い、その地域のキーステーションともいうべき存在になり得るところかもしれないなどと思うのである。
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