「北園現代史」都立北園高校の生徒達の主張に感じる「自由」

先日、名古屋大学内田先生、西村高校教諭が主催する、「校則」を考えるオンラインセミナーで、東京都立北園高校の高校生が作ったドキュメンタリー映画「北園現代史」https://youtu.be/UKPbeBCYFr8 (youtubeで公開中)を中心に議論・意見が出された。全国から100名を超える参加者がいた。この映画をその夜見たが、なかなかの出来であった。作成者(今春卒業)・現生徒会長・現PTA会長・北園高校OBもzoomに登場した。作成者は、個人攻撃にならないように配慮するなどもみえ説得力があった。

今、「校則」を考えるとして生徒を巻き込んで、学校の校則を見直そうという動きが全国で進んでいる。その流れで、生徒たちが校則を決めていくという状況は見える。しかしその場合、校則でも生徒を制限する方向に進むものは、学校側が決めたものばかりでなく生徒側が考えていったものの中にもかなり見られる。「これを決めとかないと、ぐちゃぐちゃになる」という発想が生徒にもあるからである。ただ、今回のものは、そういった、生徒が決めるべきだという流れとも一線を画した視点が見られた。それは、元々北園高校は、「自由の北園」として存在してきており、制服もなく校則等での規制がほとんど他の都立高校と比べてもない、という背景が大きいのだろう。即ち、文化祭の「髪染め」が、ネタになっているが、本来的に生徒たちが大切なこととして挙げていることが「自由」であるからである。そのそも、「自由」とは何か?それはどのようにすれば、権利として守ることができるのか?どのような環境こそが「自由」には必要なのか、それがあるからこその「自由の北園」だというところから出発している視点が常にある点である。

冷静に客観的事象を捉え、そのどこに問題があるか、ドキュメンタリーという手法により提示し、疑問を投げかける。「自由」とは何か、「自由を大事にするということはどういうことか」、とそこに誇りを感じつつアプローチをしていく。生徒達は本当は、冷静に教員とも議論をしたかったのではないだろうか。どういうやり方が、自分たちの「自由という尊厳」を守る上で大事なことかを大人と議論したかったのだと思った(教員達のいう理由は全て後付けで、納得できない。という趣旨のコメントが映画に出てくる)。今後、この先輩が残したドキュメンタリーを後輩の生徒達が観て、このテーマで冷静に議論して欲しいと思った。自分が享受する「自由」とともに、他の人が持つ「自由」を犯してはならないということを踏まえて、教員との議論を行い、どういうやり方が北園高校にとって一番いい方法かを対話し模索して欲しい。本当は、こうした議論が可能となるような環境をリードしてくれる先生が居てほしいと思った。この議論の上に、「北園における自由」のあり方が決まっていけば、それは、北園生の誇りとなるし、きっと、教員にとっても北園に赴任したことが誇りに思えることになるのではないだろうか。ここにまさに教員と生徒が創り上げる「探求」そのものが存在すると感じた。

上記のようなことを実現していく上で、最も大切なことが、「誰一人取り残さない」世界の実現といううSDG’sの発想に基づくゴールベース(ルールベースではない)の考え方にもつながる。こんな学校にしようと、教員・生徒で議論しどのような学校にしようと決めていく過程でも、決めた後にそのためにできることは何か、もっとどうすればその目標に近づけるか、自由は尊重されるかという過程でも互いに議論しながら、試行錯誤しながらそこから「誰一人取り残さない」学校を創り上げて欲しいと思った。

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