瀬戸内グローバルアカデミー訪問(2)大崎上島
2023年3月30日
再びの訪問である。長尾さんと唐下さんに「もう一度来てください」と言われていたこともあり、前回が夜中に到着。という状況であったこともあり再度の訪問となる。
何がこんなに、引きつけるのであろうか??
<大崎上島に到着>
明るいうちに、竹原港に着いた。フェリーに乗って大崎上島へと向かう。ほぼ30分くらいの船旅である。
到着すると、二人がお迎えに来てくれていた。
垂水港から外回りで、木江まで向かう。前回、夜に見せてもらっていた古民家に再び。明るいうちに見ると見る景色が違って見える。
古民家を題材に、どう使うかを学生と共に作り上げていくためのものである。しかし、本当に歴史を感じる古民家である。
ここの1階に、町のクラフトビールの工場兼販売所を入れる予定だという。ここで、ゼミや宿泊もできるところにする予定だという。
その後、
みかん畑を見にいく。ここは、二人で草を刈り、収穫を一緒にしたところだという。草刈りのロボットが1日働いている。まるで畑のルンバである。電池が切れそうになると充電ステーションに勝手に戻る。
国の実証実験に協力しながら、終了したらもらえるらしい。
そして、レモンや八朔の収穫残りをもぎ取る。何だか収穫は、楽しい。
元ペンションの本拠地に向かう。話をしたあと夕日を観に行こうということになり、大串海岸へと向かう。叡智学園の近くである。
すごく風が強く寒い。暫くいたが日没は、雲がかかってしまい見れないことになる。
帰って、晩御飯をいただき、また少し話す。
この日長尾さんは、20:00〜22:00叡啓大学入学が決まっている学生たちに対する「オンライン英文法」の授業。入学前授業を請け負っているらしい。
唐下さんは、21:00〜22:30アメリカの先生とオンラインによる英語議論授業。「平和学習」がテーマらしい。アメリカは、朝のようである。
暫く唐下さんの授業を横で聞く。全部英語なので、全ては理解できなかったが、
アメリカの先生が、「沖縄がアメリカに占拠されていた時(返還前)核を潜水艦や船で、日本にも持ち込んでいたという噂もあるが、それについてはどう思うか?」
という問いが出されると、唐下さんは、頭を抱え込んで、「どう言ったらいいのか?」と・・・・だって日本には、「非核三原則があって・・・・」
と悩んでいたのが面白かった。
<深夜のお話し>
お二人が終わって、22時すぎから3人で話し始める。私は、広島で買った「賀茂鶴 生囲い純米」をいただきながら話を始める。
ここで、唐下さんが、1年前の高校時代や、中学の時の話をし始める。彼女は、広大附属福山の高校から入学した子である。
「私は、中学の時成績トップで、教科書の記憶の仕方が得意で、効率的な記憶術を編み出しました。」という。
それは、少しでも遊ぶ・自分の好きなことに時間を使えるようにということのみを考えて、編み出した技でしたとのこと。
彼女は、いわゆる「勉強」ができる優等生であった。勉強したくないから「遊ぶ」ために技を見いだしたとのこと。
「遊ぶ」という言葉の意味は、「自分が好きなことに関して、自由な発想や行動をすることにより感じられる楽しさ」ということのようであった。
それは、「勉強という言葉自体が合わないのかもしれません。」学ぶワクワクとでもいうことかもしれない。とにかく
学校では、点を取れるための記憶をいかに効率よくやるか?を行っていたようである。表題を見て、太字の項目を押さえ全体を俯瞰し自分の記憶のきっかけを明確にすると
頭の中に、その知識が入ってくるという。
しかし、中学では、トップの成績でも高校から、広大附属福山に入ると、真ん中くらいになり、中学での勉強のやり方では、高校では通用しなくなるという状況だったようである。
本来的に、負けず嫌いである性格。
その後、受験勉強に対応するために、黙々とやり始めたらしい、
ところが受験も、前期と後期で学部がバラバラで、(本人もいい加減に受験したと言っていた)。
後期で受かったものの、何だか受験自体もいい加減な気持ちで受けたツケが来たのか、前期に合格できなかったことに対する負けず嫌いからか?
ここで考え直すことにしたらしい。この考えなおしこそが、今の彼女の大きな成長につながってくる「選択」となっていく。
何だか「学校」が好きになれなかったのかもしれない・・・・と呟き始めた。
瀬戸内グローバルアカデミーの授業を受け始めて、打ちのめされるのである。ここでの授業では、必ず数冊の課題図書が課せられる。
彼女は、真面目で負けず嫌いであるから、必ず何冊あろうが必ず読む。
ところが、最初そこでの課題に書いたのは、本の要約に終わっていたらしい。当然ここでの課題には、答えはない。
「で?」「あなたは、何を考えたの?」が聞かれる。
しかし、彼女は、「答えがわからない、要約して以上!」で終わっているのだ。
だって考えてもわからないんだから、「読んだ」、「まとめた」はい、以上!ということだ。
そんな考えたこともないようなことに答えられるわけがない。自分はちゃんと読んだし、まとめた。それ以上どうしろというんだ!
となっていたらしい・・・・これは、もしかしたら、今の進学校に行っている人に多い、典型的な優等生の姿かもしれない。
いや、学校自体がそういうことを求めていたからかもしれない。受験の為に・・・
だから、彼女は、なんとなく自分がワクワクすることがない「学校」を好きになれなかったのかもしれない。
そこでグローバルアカデミーの先生は、彼女が発した言葉の定義や具体的なことを必ず聞いてくる。
その上で、あなたはどう思うか?が中心となるのである。
ところが、彼女は「論」を立てることを今までにやってきたことがない。知識を覚えることに注力してきただけである。
「どうしろというんだ!」今までの学校では、きちんと読み、まとめていれば点がもらえたのに・・・・・という境地に陥っていたそうである。
こうしたことに触れ、問いをどんどん投げかけられていると、彼女は、ある時「なるほどそういうことか」という事にぶつかって理解すると同時に、
自分自身の負けず嫌いによって、自分自身に対して悔しくなっていく。
今は、こうしたことを経て、さらに自分の意見や考えを英語で相手に伝えることができるようになってきている。
こうした話の間、(私は質問を投げかけただけであったが)
彼女にしてみると、私と話しているうちに、「自分の足りない部分やもっと成長できる部分に、たくさん気づくことができました。」と伝えてくれた。
なんと、素直に吸収し、成長著しいんだろう!感心せずにはいられなかった。
<翌日の目覚め>
そんなこんなで、夜中の2時になってしまったのでみんな寝たが、長尾さんと唐下さんは、朝6時から英語のクラスをやるということで起きたらしい。
すごい二人だ・・・・
またもや、日の出は、曇りで見れないという事になり、
私は7時に起きて、朝ごはんをみんなと一緒にいただいた。
8:00〜11:30は、唐下さんは、みかん農家にいき、鶏糞をまきに出かる。「すぐ帰られますか?」と聞かれたので、「君が戻るまでここにいるよと伝える。」
彼女が戻るまで、長尾さんと話をし、みかんの発送を行い、役場と望月屋敷に行き、大崎上島の神の峰山に登り、大崎上島の政治の話や、歴史の話、お統合された3つの町の文化の違いの話等いろいろお聞きした。
帰って二人で、パスタを作っていると唐下さんも戻ってきて、みんなで話をしながら、お昼をいただく。
レモンを絞ってかけると最高の旨さだった。大崎上島のレモンは、酸っぱさよりも旨さ、爽やかさが素晴らしい。
その後、長尾さんが「清風館にコーヒーのみにいくよ!」という一言に、唐下さんが「わーい」・・・・・・そんなにいいところなのか???
行ってみると素晴らしい絶景のホテルであった。そこで温泉付きの最高級の部屋と、画家の絵が飾ってある部屋を見せてもらって、コーヒーをラウンジで飲んだ。
ここにも、地元の人々の活動が、ホテルのお土産屋のところに飾ってあった。勿論、瀬戸内グローバルアカデミーの1期生2期生の写真もあり紹介されていた。
そのあと船の博物館に行って、お二人にフェリーの港で見送っていただく。
丸々24時間の大崎上島だった。
また、訪れる事になりそうな気配・・・・次は、自転車で、しまなみ海道を大三島まで乗って、フェリーで大崎上島そしてまた、フェリーに乗って大崎下島という流れかなあ・・・・
フェリーの港で見えなくなるまで手を振っていただいた二人の姿は、忘れないだろう。
7月30日は、唐下希颯さんお卒業式である。いよいよ8月からは、アメリカの大学に編入することになる。
アメリカの大学で授業が受けられる語学力と思考力の準備が出来ました。
日本の女性として、日本人としての誇りを持ちながら、しっかりと世界に出る自信も身につけた希颯さん。
何が起こっても臨機応変に考え、生きてゆく「体力、気力、思考力、思いやり」を身に付けることもできた希颯さん。
大いなる希望と、可能性を示してくれたあなたに会えて本当に最高でした。
また会いましょう!
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